運動能力の遺伝子群解明へ=そり犬のDNA解析―米チーム

 米アラスカ州やカナダ北部で盛んな犬ぞりの長距離レースで優秀な犬の集団は、シベリアンハスキーやアラスカンマラミュートとの交配が進み、持久力に優れ、寒さに強いタイプの遺伝子群を受け継いでいる可能性が高いことが分かった。米国立衛生研究所などの研究チームが26日までにDNAを解析してほかのさまざまな品種の犬と比べ、成果を英科学誌BMCジェネティクスに発表した。
 犬の品種改良は体格の大小や毛の長さ、色など、主に形態に基づいており、従来のDNA解析も形態の違いに関する遺伝子の解明が中心だった。研究チームは犬の運動能力に関する遺伝子群の解明を目指しており、研究成果は人間の医療やスポーツ科学にも役立つと期待される。
 短距離レースで速い犬の場合は、猟犬として有名なポインターや中近東・北アフリカに多い細身のサルーキとの交配が繰り返されたとみられることも判明。そりを自ら進んで引く勤勉な性格は、トルコ原産で羊などの家畜を守る役割を果たしてきたアナトリアンシェパードから受け継いでいると推定されるという。
 アラスカでそりを引く犬は、19世紀末から20世紀初めのゴールドラッシュを支え、1930年代後半からはレース用に繁殖と改良が続けられてきた。