今夜はISS観測に絶好のチャンス

国際宇宙ステーションISS)が昼と夜の境目“トワイライト・ゾーン”に入った。世界各地で一晩の間にISSを何度も見ることができる。こんなチャンスは初めてだ。

ISSは地上約450キロの軌道上にあり、わずか90分で地球を一周する。その約3割の時間は太陽の光が届かない夜側で地球の影に隠れるため、夜間いつでも地上から見えるわけではない。

しかし毎年一度だけ、ISSの軌道が地球の昼と夜の境目である薄明のゾーン、明暗境界線とほぼ並行になる。ISSがこのゾーンに入ると、日が沈んでいる間はISSが上空を通過するたびに地上から肉眼で観測することができる。

ISSの周回軌道が7月2日まで薄明の明暗境界線の中に留まることになる。これは天文ファンにとってはすごいチャンスだろう。一晩のうちにISSを3回も4回も繰り返し見ることができるのだから」と、アラバマにあるNASAのマーシャル宇宙飛行センターのウィリアム・クック氏は語る。

現在ISSは完成間近で、大きさはアメリカンフットボールのコートと同じくらいになる。表面は光沢のある金属と高反射性の太陽電池パネルによって覆われているため、市街地からでも容易に肉眼で観察することができる。月を除けば夜空で最も明るい物体となる時間帯もある。

時速約2万7000キロで周回するISSは、明るい星が夜空を素早くすべるように動きながら、2分間から4分間で天空に弧を描くように見える。クック氏によると、ISSは瞬かずに白く輝くので飛行機と簡単に見分けることができるという。

近年、熱心な天文ファンは自宅に置く天体望遠鏡も大型になり、ISSの観測や撮影を行っている。クック氏によれば、「今ではISSのモジュールや太陽電池パネルなど、細部の構造まで鮮明に見ることができる。時にはドッキングしたスペースシャトルを見ることさえ可能になった」。

多くの気象衛星通信衛星と異なり、ISS静止軌道上にある静止衛星ではない。地球から見て常に位置が変化しているため、特定の場所で常に観測できるわけではない。

人工衛星をオンライン上で追跡できるSpaceweather.comでは、ISSが世界各地の主要都市付近を通過する日時や、その際の明るさなどを確認することができる。