<Ia型超新星>宇宙測る指標の超新星、20年の論争に決着

宇宙の大きさを測る際に使われる「Ia型超新星」が、物差しとして信頼できる特徴を持っていることを、東京大数物連携宇宙研究機構などの国際チームが確認した。「同じIa型の星にさまざまな個性があるため不適格では」との異論が出ていたが、今回の成果で20年以上続いた論争に決着がついた。1日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載された。

超新星は重い星の最期に起こる大爆発で、強烈な光を出した後、急速に減光する。Ia型は、減光の速さから本当の明るさを求め、見かけの明るさと比べることで地球からの距離をほぼ正確に割り出せるとされた。これを使って90年代後半、宇宙が加速度的に膨張していることが分かり、宇宙のエネルギーの7割以上を占める「暗黒エネルギー」の存在も裏付けた。

一方で、Ia型の光を詳しく分析し、同型に属する星でも波長ごとの光の変化の速さが多様であるとする成果もあり、宇宙を測る指標として使うことが適切かの議論が続いていた。

同機構の前田啓一・特任助教らは、過去に観測されたIa型の超新星約20個について、爆発による光を波長ごとに詳しく調べた。その結果、従来は星の中心で起きると考えられていた爆発が、中心から少しずれた位置で始まることを突き止めた。この「ずれ」により、見る方向が違うと光が違って見えることが証明され、Ia型は「偏りのある爆発をする、均一な特徴を持った(没個性な)超新星」と結論付けた。

前田さんは「Ia型を根拠とした暗黒エネルギーの存在がより強固になった。暗黒エネルギーの性質を特定するのにも役立つ」と話す。


毎日新聞