イスラエル 最古のオリーブ油生産施設発見 日本の調査隊

イスラエル北部の都市遺跡「テル・レヘシュ遺跡」を発掘していた立教大と天理大の合同隊は今夏までの調査で、イスラエルパレスチナ地域で最古となる、後期青銅器時代(紀元前13〜11世紀)に稼働したオリーブ油生産施設6基を発見した。古代エジプト王の遠征記や旧約聖書にも登場する「アナハラト」だと有力視されている都市だが、オリーブ油を生産する新規ビジネスで繁栄した可能性を示す貴重な資料だ。

 調査団によると、遺跡はガリラヤ湖南西約12キロの丘にある。8月末までの5年で約1200平方メートルを発掘。前期青銅器時代(紀元前30世紀ごろ)からローマ時代(紀元後2世紀)まで、都市が存続したことが分かっている。

 丘の3地点で搾油施設6基を発見。円筒内部に石組みした形で、最大の施設は直径1.8メートル、深さ約0.8メートル。床面は傾斜し、液体約3リットルをためる石製容器が埋まる。炭化オリーブも見つかった。果実を粉砕、圧搾し、果汁を容器に集めたとみられる。団長の月本昭男・立教大教授(旧約聖書学・古代イスラエル史)は、6基以外にも施設が多数埋まっていると推定し「家庭で作る規模を超えた産業で、近隣都市と交易していた」とみる。

 遺物などから、建造時期はカナン人が住んでいた時代と判断。地域で大量生産が始まった時代の定説だった紀元前7世紀を大きくさかのぼる。

 紀元前12世紀ごろは、周辺の諸文明や都市国家が崩壊し、イスラエル人やペリシテ人など諸集団が出現した混乱期。油は食・薬用や灯火などに重宝されたとみられ、発掘担当者の小野塚拓造さん=筑波大学大学院博士課程(考古学)=は「変化する時代の中で、ビジネスチャンスを見つけ、繁栄にこぎ着けたカナン人都市国家のしたたかさが感じられる」と話している。