日本近海、生物の宝庫=1%の海域に、世界の14%―生物多様性調査・海洋機構など

バクテリアからほ乳類までの全海洋生物のうち、約14.6%が日本近海に存在することが、海洋研究開発機構などの研究チームの調査で分かった。調査結果は2日付の米オンライン科学誌プロス・ワンに掲載された。

 海洋機構の藤倉克則博士(深海生物学)は「日本近海の生物多様性が世界有数であることが示された。データは国や地域、生物の分類群ごとに大きな差があるので、今後それらを埋める必要がある」としている。

 研究チームは国際的な取り組みの一環として、海洋機構や大学の研究者ら約50人態勢で、日本の排他的経済水域EEZ)の生物について1953年以降の文献を調べ、データベース化した。

 その結果、日本近海の海洋生物は計3万3629種に上った。全世界の海洋生物種は約23万種が知られており、その約14.6%を占める。

 内訳はイカ、タコなどの軟体動物が最多の8658種、2位はエビやカニなどの節足動物で6393種。日本近海の固有種は1872種、外来種は39種だった。

 調査は各海域ごとに集計され、日本近海は26エリア中1位。ただ、バクテリアなどをのぞき、細胞核を持つ真核生物だけでみるとオーストラリア近海がわずかな差でトップになった。

 一方、日本では、正式な報告例はないが存在が強く推定される生物が約12万2000種存在するといい、今回確認された生物種は全体の約2割にとどまる。

 全海洋容積で約0.9%しかない日本近海に多様な種が存在することについて、藤倉博士は「さまざまな水温や潮流があり、多くの干潟など地形にも恵まれているからでは」としている。