DNA修復を妨げる遺伝子=がん新薬に応用期待―慶大と産総研

太陽の強い紫外線や体内の活性酸素などの影響でDNAが傷つくと、細胞の活動がいったん停止して修復作業が行われるが、普段はこの修復作業が始まらないように制御している遺伝子が見つかった。
 慶応大医学部の中田慎一郎特別研究講師と産業技術総合研究所の夏目徹チームリーダーらが19日付の英科学誌ネイチャーに発表した。
 がん細胞の場合、この遺伝子「OTUB1」の働きを抑えれば、細胞の活動を止め、さらに死に追い込める可能性があり、がんの新薬開発につながるかもしれないという。
 DNAが損傷すると、たんぱく質が鎖状につながった「ユビキチン鎖」が目印として結び付き、細胞活動が停止して修復作業が始まる。OTUB1遺伝子が作る酵素は、このユビキチン鎖の形成を妨げる役割がある。