<肉食恐竜>腰にこぶ持つ新種の化石 スペインで発掘

スペイン中部の白亜紀前期(1億2500万年前)の地層から、腰に大きなこぶを持つ新種の肉食恐竜の化石が見つかった。背中に突起を持つ恐竜は多いが、腰にこぶ一つだけを持つ恐竜は初めて。スペインの研究チームが9日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 発掘されたのは、ほぼ全身の骨格化石で、全長は約6メートル。こぶの機能は不明だが、雌雄の違いを示したり異性をひきつける役割を果たしていた可能性がある。保存状態がよく、足首にひし形のうろこ、尾に軟らかい組織が残っていた。前脚には羽毛があった痕跡も確認された。この恐竜は南半球に分布した肉食恐竜と同じ仲間に分類されたが、この仲間の恐竜で初めて羽毛が確認されたことにもなる。

 真鍋真国立科学博物館研究主幹は「羽毛の起源が、恐竜全体にさかのぼり、恐竜は早くから羽毛を使い、体温調節したり、他の個体と意思疎通していた可能性がある。そのことが、羽毛を持たない爬虫(はちゅう)類との進化の分かれ道になったのかもしれない」と話す。

2つの小惑星が地球付近を通過、月よりも接近

2つの小惑星が米国時間の8日に地球付近を通過する。米航空宇宙局(NASA)によればこうした現象は珍しく、いずれも月よりも近い距離まで接近するが、地球に被害が出る恐れはないという。

NASAによると、小惑星はそれぞれ別の軌道上にあり、肉眼では見えないが、中型のアマチュア望遠鏡を使えば小さな光点として観測できるという。

小惑星「2010 RX30」は推定約10〜20メートルの大きさで、米東部時間8日午前5時51分(日本時間同日午後6時51分)に地球から約25万キロの地点を通過する。もう1つの「2010 RF12」は推定約6〜14メートル、米東部時間の午後5時12分(日本時間9日午前6時12分)に地球から約7万9000キロの地点を通過する。

2つの小惑星アリゾナ州ツーソン近郊にある天文台が5日の定点観測で発見した。連絡を受けたマサチューセッツ州の観測所が軌道を調べ、3日以内に月よりも近い距離を通過すると判断した。

地球付近を通過する物体は1日に約5000万にも上るという。しかし2つの小惑星が同じ日にこれほど近くを通過し、NASAが事前にそれを事前に把握できたのは珍しいという。

地球に接近し衝突などの恐れがある天体を観測しているNASA研究員は「こうしたことは毎日起きているが、われわれには大型の望遠鏡や常時監視の態勢がないため把握できない」と述べ、観測態勢の強化を求めている。

イスラエル 最古のオリーブ油生産施設発見 日本の調査隊

イスラエル北部の都市遺跡「テル・レヘシュ遺跡」を発掘していた立教大と天理大の合同隊は今夏までの調査で、イスラエルパレスチナ地域で最古となる、後期青銅器時代(紀元前13〜11世紀)に稼働したオリーブ油生産施設6基を発見した。古代エジプト王の遠征記や旧約聖書にも登場する「アナハラト」だと有力視されている都市だが、オリーブ油を生産する新規ビジネスで繁栄した可能性を示す貴重な資料だ。

 調査団によると、遺跡はガリラヤ湖南西約12キロの丘にある。8月末までの5年で約1200平方メートルを発掘。前期青銅器時代(紀元前30世紀ごろ)からローマ時代(紀元後2世紀)まで、都市が存続したことが分かっている。

 丘の3地点で搾油施設6基を発見。円筒内部に石組みした形で、最大の施設は直径1.8メートル、深さ約0.8メートル。床面は傾斜し、液体約3リットルをためる石製容器が埋まる。炭化オリーブも見つかった。果実を粉砕、圧搾し、果汁を容器に集めたとみられる。団長の月本昭男・立教大教授(旧約聖書学・古代イスラエル史)は、6基以外にも施設が多数埋まっていると推定し「家庭で作る規模を超えた産業で、近隣都市と交易していた」とみる。

 遺物などから、建造時期はカナン人が住んでいた時代と判断。地域で大量生産が始まった時代の定説だった紀元前7世紀を大きくさかのぼる。

 紀元前12世紀ごろは、周辺の諸文明や都市国家が崩壊し、イスラエル人やペリシテ人など諸集団が出現した混乱期。油は食・薬用や灯火などに重宝されたとみられ、発掘担当者の小野塚拓造さん=筑波大学大学院博士課程(考古学)=は「変化する時代の中で、ビジネスチャンスを見つけ、繁栄にこぎ着けたカナン人都市国家のしたたかさが感じられる」と話している。

エチゼンクラゲを美容や薬に 関電、発電所対策兼ね

関西電力は6日、大量発生で漁業被害や原子力発電所の取水口の目詰まりなどの問題を引き起こす“海の厄介者”のエチゼンクラゲを利用して、医薬品や化粧品を開発するプロジェクトに乗り出したことを明らかにした。クラゲから有効成分のコラーゲンを取り出し、原料のハイドロゲル材(ゼリー状物質)に加工。けがの患部にはり付ける創傷被覆材やにきび予防の美容マスクなどの材料とする計画で、エチゼンクラゲの有効活用を目指す。

 エチゼンクラゲ日本海で大量発生し、漁網を破るなど深刻な被害を及ぼしている。平成11年6月には高浜原子力発電所2号機(福井県高浜町)の取水口に大量に来襲。取水口の防塵(ぼうじん)装置4台のうち2台が停止し、出力を低下させるなどの原発への悪影響も出ている。

 今回のプロジェクトは関西電力子会社の関西電子ビーム(大阪市北区)、日華化学福井市)、福井県立大学海洋生物資源学部(小浜市)などが共同で行う。

 関西電子ビームの電子線照射施設(福井県美浜町)を活用し、エチゼンクラゲから抽出したコラーゲンと、越前ガニの殻からとれるキトサンを混ぜ合わせた物質に電子線を照射することで、ハイドロゲル材を生成する。

 コラーゲンの保湿効果とキトサンの抗菌効果を併せ持つハイドロゲル材が開発できれば、創傷被覆材や美容マスクなどの商品化も可能となる。22年度に基礎研究を進め、23年度以降に実用化研究へ移行する。

 関電は17年3月に福井県が策定した「エネルギー研究開発拠点化計画」に参画。同県敦賀市美浜町小浜市などで研究開発機能の強化や産業創出・育成などを推進している。

 8月30日に関西電子ビームが電子線照射施設の運用を始めたのを機に、同施設を活用した地域貢献活動として、今回のプロジェクトに着手した。関西電力の酒井和夫原子燃料サイクル室長は「地元のためにも実用化につなげたい」と話している。

 大量発生したエチゼンクラゲは、処分法が課題となっており、福井県小浜市で地元の水産高校と企業が粉末化し、羽二重餅(はぶたえもち)として商品化するなど活用法が模索されていた。

 今年のエチゼンクラゲの動向について、水産総合研究センター日本海区水産研究所(新潟市)は「昨年は大量発生したが、今はまだ兆しはない。日本沿岸に近づくのはこれから」としている。

【用語解説】エチゼンクラゲ

 日本近海では最大級のクラゲで、大型のものでは傘の直径が2メートル、重さが150キロになる。中国・黄海などで発生し、夏から冬にかけ海流に乗って日本沿岸に出現する。近年、日本海で大量発生しており、巨大な群が漁網に入る漁業被害が大きな問題になっている。大量発生の要因としては、地球温暖化による海水温上昇などが考えられる。

衝撃的に素朴な1人乗りロケット試作機、打ち上げへ

 ミサイルのような1人乗り有人ロケットの試作機が、9月2日にもデンマーク沖のバルト海で打ち上げられる。今回は人形を載せた高度30キロのテスト飛行だが、高度100キロを超える飛行能力を持つ。数回のテストを重ね、安全性が確認できれば有人で打ち上げる。成功すれば、宇宙に独自に人を送った国として、旧ソ連や米国、中国に続き、デンマークが4カ国目になる。

 米航空宇宙局(NASA)の元技術者らの民間団体が開発した。小型ロケット「HEAT―1X」で、宇宙船「ティコ・ブラーエ」を打ち上げる。船名は16〜17世紀の同国の天文学者からとった。

 全長は約10メートル、直径約60センチ。飛行士は先端の透明なカバーに顔をのぞかせるようにして立って乗る。個人の寄付5万ユーロ(約600万円)や地元企業からの提供を受け、ボランティアで製造された。1千人以上の出資者のほとんどはデンマーク人だが、日本人の名前もある。

 固体燃料と液体酸素のハイブリッドエンジンで、人間を上空約130キロまで持ち上げる。数分間の無重力が体験でき、地球も丸く見える高度だ。帰還は、パラシュートで海に着水する。

 民間ロケットに詳しい米宇宙関連財団職員の大貫美鈴さんによると、作ったのは愛好家集団のような団体で、数年前に国際会議で発表され、「人間1人を宇宙に連れて行くだけ」という最小限のコンセプトが衝撃を与えた。技術的には手堅く、エンジンの燃焼試験にも成功。打ち上げは、米国の宇宙業界関係者も注目しているという。

 民間の有人宇宙飛行は、英航空会社が出資するヴァージン・ギャラクティック社(米国)の宇宙船「スペースシップ1」が成功。さらに、複数の企業や団体が「宇宙旅行」を目指して開発している。

 宇宙航空研究開発機構的川泰宣名誉教授は「素朴な発想で面白い。人が耐えられる加速や衝撃以下にエンジンと姿勢を制御できるかがカギ。でも、本当に人を乗せる勇気があるかなあ」と話した。

太陽系外に土星サイズ惑星=地球から2200光年―NASA

米航空宇宙局(NASA)は26日、ケプラー宇宙望遠鏡が太陽系外で、同じ恒星を公転する2個の惑星を発見したと発表した。大きさはいずれもほぼ土星と同じで、巨大な惑星。さらに地球ほどの大きさの三つ目の惑星が存在する可能性もあるという。
 2個の惑星の公転周期は約19日と約38日で、「ケプラー9b」と「ケプラー9c」と名付けられた。NASAによると、地球から約2200光年離れた場所にある。恒星との距離が近く、高温で生物が住める環境ではないとみられる。 

ボルネオ島で豆粒ほどの「極小」カエル発見、新種と判明

東南アジアのボルネオ島マレーシア領で、「豆粒」ほどの大きさの新種のカエルが見つかった。これまでにアジア、アフリカ、欧州で発見されたカエルの中では最小という。

 分類学誌Zootaxaによると、このカエルは「Microhyla nepenthicola」と命名された。成体の雄でも、体長は10.6~12.8ミリという「小ささ」。

 マレーシア・サラワク大学の生物多様性環境保全研究所のインドラネイル・ダス博士は、このカエルについて「研究者らはこれまで別の種の幼生だと考えていたが、今回それが新種の成体だったと判明した」と説明している。

 Microhyla nepenthicolaは、日没後に鋭く、きしむような鳴き声を発するのが特徴。研究者らはその鳴き声を頼りに、マレーシアのサラワク州の国立公園内で複数の個体を見つけたという。